11冊目 新装版 自分を捨てる仕事術 | 石井 朋彦 | 家事・生活の知識 | Kindleストア | Amazon
感想
生み出せなくても大丈夫
いつのまにかぼくは、「やる気はあるけど、焦ってとんちんかんな若者」から、「議事録を正確にまとめて、進むべき方向を示す人」という評価を獲得していました。自分自身で何かを生み出したわけではありません。ただその場の話を正確に記録し、整理整頓しただけなのに。
議事録をまとめる作業は、一人前のひとがやっている仕事ではないという印象を受ける。その場にいる人たちが話しているのをまとめるだけなので、生み出した感じはしない。しかしながら、そこからバリューは生み出せる。生み出さなくては価値がないということでは無いんだな。
成果を出す方法
彼は「音楽がよかったからといって映画が成功するとはかぎらない。でも、力の入った映画には結果を出してきた音楽家がキャスティングされるわけだから、まずは選ばれなければならない」と言いました。 (中略) 「ぼくは、年間300曲以上つくっています。依頼された仕事は極力断りません。でもそのなかで、ヒットする作品はわずかです。『今回は自分の満足のいく曲ができた』と思った作品でも、数字がついてこないことは多い。でも、たくさんやっていると、何回かに1回はヒット作に巡り合うんです」 (中略) 「でも、ヒットした作品がぼくの代表作ってことになっちゃう。そのとき、満足のいかない仕事をしていると、後々ものすごく後悔するんです。だから、どんな仕事も断らないだけではなく、一生懸命やる」
仕事をとにかく数多くやるのも大事だし、ひとつひとつ一生懸命に後悔のないようにやる。当たり前だけど大事なことだ。
真似できるのは才能があるから
教わるにも、学ぶにも、真似するにも才能がいる。才能とは、常に素直でいることです。さしたる能力のないぼくに与えられた才能があるとしたら、それは、人一倍素直である、ということだったのだと思います。
自分で考えつくのではなく真似することは悪だと考えてたときは、真似することは簡単なことだと思っていた。真似できるのは才能があるからという考え方を用いれば「この人の真似できてる自分、すごい!」とすごくポジティブになれそう!
私は学生の頃バドミントンをしていたが、たしかに、オリンピック選手の試合映像を見ても簡単に真似なんてできなかった。真似出来る時点ですごいことなんだとなぜ気づかなかったんだろう。
コンプレックスが多い人
プライドが傷つくことを恐れ、相手を遠ざければ遠ざけるほど、自分のなかで相手の存在は大きくなり、コンプレックスは増大します。自分が苦手な人、嫌いな人、自分のなかに不安をふくらませる人。でも、何か自分が持っていないものを持っている人。身近な人でいいのです。 (中略) とにかく1回、何も考えずに、自分がいいなと思った人、コンプレックスを抱いた人、負けた、と思った人の「型」を真似してみる。自分を空っぽにして、身体のなかに取り入れてみる。そのあとで、自分にとって有益なことは自然に残っていくし、違和感があったり、なじまなかったことは捨てればいい。いちばんよないのは、「あの人は自分とは違う」と決めつけ(中略)その場にいとどまってしまうことです。
これぞ、「コンプレックスをたくさん持っていてそれがなくならない人」が生まれる仕組みだ、と感じた。人生かけて、なにも動かなければガッチガチのコンプレックスの固まりになってしまいそう。それは人相にも出るだろう。その状態で100歳になったときの顔は想像もしたくない。
どちらのタイプでも良い
世の中には2種類の人間がいる(中略)。一方は、人生に夢と目標を持ち、そこへ向かって突き進もうとするタイプ。もう一方は特に目標は持たないが、目の前のことはひとつひとつやる、というタイプです。鈴木さんは自分は後者であると堂々言っていました。
自分も前者である。前者でもいいんだ。励まされた。
怒り時を自分で決める
今日から怒りに10段階のランクをつけな。(中略)いまの自分の怒りは、1年間で、どのくらいのレベルなのかを考える。だいたい、1か2だっていうことに気づく(中略)でも、1年に2回は本当に怒らなければならないときがある。そういうときは、起こるって決めて、怒ることによって物事が進むようにしなければダメ。ただ怒ってるだけじゃ、何も変わらないぞ。
自分は感情をコントロール出来る方だと思っている。怒るのには体力もいるし、相手も恐縮してしまうので極力怒りたくない。(少し話はそれるが、自分のことを怒ってくれる人には感謝しなければならない。)しかし、この"極力怒らない"という考え方は違った。本当に怒らなければならないときと怒らなくてもいいときを自分で見極めるべきなのだ。
勉強ばかりしていてもだめ
本当に真剣に考えるのは、一週間のうち、せいぜい1日。真剣に考える日以外は、整理に使う。(中略)机にずっと向かっているヤツは仕事ができない
人はいいアイデアが思い浮かばない時、机に向かってうんうん悩んでいても絶対アイデアは浮かばないらしい。リラックスしているときや他の何かをしているときにふと思い浮かぶ。脳科学的にそうらしい。
わたしも、シャワー浴びてる時によくいいアイデアが思い浮かぶ。「考えすぎてもアイデアは思い浮かばない=机にずっと向かうのはよくない=机にずっと向かっているヤツは仕事ができない」となるのも納得である。
沈黙を怖がるな
沈黙を恐れない。相手が考えているときはじっと待つ。目線をほかにやり、自分の存在を意図的に相手の前から消すことも重要です。
電話など、相手の表情が見えないときは余計やってしまうかも。自分聞いてます!感を声で出してしまう。表情が見えないから、黙りすぎるのもよくないかもだけど。
夫婦が向き合うのはNG
夫婦っていうのは、向き合っちゃダメ。同じ方向へ向かって歩かなければならないんだ。
だれと一緒に歩むか決めて、目標に向かってともに尽力し支え合う。相手に自分と同じものを求めても意味がない。補い合うからたのしい。夫婦も仕事も同じなんだな。
否定するときは必ず笑え
相手の意見を否定しなければならないときほど、笑顔を浮かべる。
たしかに、話している間にみるみる上司の顔色が悪くなっていくのを見ると「もう話すの怖い」となる気持ちがすごくよくわかる。まずは相手の意見をすべて聞きたいと思うからこそ、相手が話しやすい雰囲気で話を聞く。聞いてもらっている相手の顔色を伺いながら話すと、大抵良くわからないことをそのうち言ってたり、帰ってから「ここ言えなかった...」ということが出てくる。わたしも心がけようと思った。
自分の手柄を立てると成果にならない
「おれがやった」「自分が考えた」と、自分の手柄に固執する人は次第に仲間を失ってゆきます。
アイデアについて「それわたしが言ったのにな」と思わされる人に出会ったことがある。そうなると、その人にはなにも言わないでおこうとかその人はスキップして、より上位層に話そうという気持ちになってしまう。一番信頼できるのは、仕事が成功したときに「〜さんが◯◯を頑張ってくれたおかげです。ありがとうございます。」と言ったときに「いえ、自分は◯◯しただけです。あなたがいてくれたおかげです。」と言ってくれる人だ。私は前者にも後者にも出会う機会があった。いずれにしても貴重な経験だった。
自分で思っている自分は自分ではない
「自分が見られたい自分」よりも「人が見ている自分」が自分なのです。
わたしは自分で一番自分のことがわからない。世界で一番の謎は自分だと思っている。しかし、仕事仲間や友人からはよく「自己分析力がすごい」と言われる。自己分析できてないから自分のことがわからないのに。笑 自分のほんとうの気持ちは自分にしかわからなくて、自分が解明できないのであればそれは闇の中だと思っていた。
でも自分が本当はどうなのというのは関係なくて、人が「あなたは優しい」「努力家だ」「当たり前のことができることはすごい」と言ってくれたらその通りなんだ。自分ではそう思って無くても、そこが強みだと自覚するべきなんだ。
急ぐべきものほどゆっくりやれ
「急がなければならないことほど、ゆっくりやれ」(中略)「急がなくていいことほど、早くやれ」
ここでの「早く」は、その言葉通り、優先度の低いものは後回しにせずに早くやりなさいということ。「ゆっくり」とは、優先度の低いものを早く片付けた上でたくさんの残った時間の中で重要度の高いものをゆっくりと考えてやるべきだ、ということだと解釈した。優先度の低いものに追われて結局時間がなくなり、重要度の高いものも短時間でこなさなければならなくなる。そのような状態になることは避けなさいということ。うまいとんちだ。
謝罪するときにしてはいけないこと、絶対するべきこと
メールや電話で謝らないこと。必ず電話でアポイントメントを取り、会って直接、相手の目を見て頭を下げること。(中略)人は、面と向かったら、怒りを相手にぶつけられないものだよ。
トラブル対応は電話でしか、したことない。メールがだめだろうなとは思うが、電話もだめだとは。たしかに顔が見えないだけでかなり話やすくなる。人は暗い場所だと相手の表情が見えないから本音を言いやすくなるというのを聞いたことある。電話だとより相手の顔が見えないから感情をむき出しにしてしまうというのが、悪い方向に働くということだ。
もし次にトラブルが起こったら試してみようと思った。
自分を捨てる仕事術の本当の意味
「自分を捨てる仕事術」の本質は、自分を捨て、他人の得意技を盗む、ということではなく、他人の得意技を見極め、結果、自分を獲得し直すこと、と言えます。(中略)自分より得意な人がいる仕事は、自分がやる必要はない。その仕事を人に任せることで、自分の得意な仕事に集中できる
この本のタイトルを始めに見たときは「自分を捨ててとにかく真似をしろ、そうするとそのうちオリジナリティが出てくるぞ」という趣旨の本かなと思った。たしかにそのことも書かれていたけど、自分を獲得し直す、つまり新しい自分を手に入れるということだった。また、新しい自分を手に入れるためには獲得対象が必要。その獲得するものも見極める。獲得してみた結果、その人よりもできなかった場合は、埋めてもらうということだった。
獲得できたかできなかったか判断するためにも、獲得対象を深く理解することが必要だ。
自分を捨てるというより、形作るための本だった。